陽の章 五禽戯


3 馬王堆の導引図



  湖南省長沙市の馬王碓(まおうたい)の遺跡から発見された「馬王堆古導引図」には様々な格好に体を動かしている人々が描かれています。このイラストは今から約2000年前(前漢)のものですが、その中にすでに五禽戯のもとになったであろう動作が描かれているのです。

 「熊経鳥伸(ゆうけいちょうしん)という言葉があります。それは熊のように揺すり、鳥のように伸ばす、という意味で、つまり気功鍛錬を意味しています。このような鍛錬法は、歴史に上らないはるか昔から実践されていたのでしょう。

 また、荘子(BC369〜286)の本の中には「熊経鳥伸は寿をなすのみ」という一文を見ることができます。つまり、「熊のように体を揺すったり、鳥のように手足をのばして気功を練習したところで、高々、ほんの少し寿命を延ばせるだけなんじゃないか、くだらないよ」とそうした健康法を真剣に実践する人々に対して皮肉を言っているのです。

 確かに、夢で蝶になって花から花へ飛びまわり、その夢から覚めて、あまりにも甘美なその体験が忘れられず、『夢で蝶になった体験が、現実のようで、夢から覚めた自分のほうが夢のようだ』と考える荘子にすれば、「健康長寿」はくだらないことなのかもしれません。

 しかし私たちとしては、荘子のそのような皮肉なコメントは忘れて、しっかりと五禽戯によって、若返り法を学んでいこうではありませんか。

馬王堆古導引図 馬王堆古導引図一部模写

 
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